いわゆる中山間地域のような辺縁の土地において、どうすれば一定の再現性をもって農業経営を成立させることができるのか。就農時からの個人的なテーマです。
過去案① - 6次産業化
6次化によって付加価値を生み、単位面積あたりの利益を大きくすれば栽培規模が小さくとも経営が成り立つんじゃないか、というのが就農当時の素朴な目論見でした。
これはその通りではあったのですが、付加価値を生むことに再現性を持たせるのは困難であり、それができれば誰も苦労しないという当たり前の事実に気がつくのにだいぶ時を要しました。
また、加工にしろ販売にしろ、パイの奪い合いという側面があるように思います。
過去案② - 栽培データのオープンデータ化
6次産業化じゃないなあと思っている頃、自作スマート農業を始め栽培データの収集を開始。このデータの分析を通して、栽培への理解が深まるのを感じました。
このデータをオープンデータとして共有すれば、栽培技術の向上を通して経営改善・発展につながるんじゃないかと思いまして、とりあえず原木椎茸の栽培データをオープンデータとして公開しました。
さらに登録・検索サイトも作り、だれでもデータの公開と取得ができるようにしてみたのですが、当たり前に誰にも使われませんでした。(閲覧はポツポツあったようです)
そもそも、わざわざ一体誰が栽培データをオープンデータにするんだという点。もうひとつ、統一されたメタデータ規格などがなく、圃場を知らない状態でしか見れない栽培データにどれほどの価値があるのかという点。
この二点がわからなすぎて散りました。
現行案 - デジタル・アグロエコロジー・コモンズ
栽培データのオープンデータ化に散ってから数年の熟成を経てのデジタル・アグロエコロジー・コモンズです。
さっそくサイトを作ったので詳しくはそちらを見ていただければと思いますが、簡単に言うと「栽培データそのものではなく、なぜ栽培データを必要としたのかという問いを共有しよう」というアイデアです。
一般的に「標準化しづらい=条件不利」という理解かと思いますが、その一見不利に見える条件(環境や生態系)をうまく活用することができれば、むしろ有利な栽培ができる可能性があります。
問いの共有・循環により農家の熟練化を促し、そのきっかけを作ります。
バババッと勢いで電子書籍を作り、OSS 開発を始めました。
『テクノロジーを手放す農業論』

by SimpleImageLink
まぁ、誰にも利用されない……どころか存在を認識すらされない問題は依然としてありますが……ともあれ、これが結果として人と自然との境界を形成する一助となり、多面的機能の発揮により、産業として見たときにより条件の良い中心部で行われる効率的な農業との共存関係になったらいいな、と思ったりしています。
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