2022年6月18日土曜日

無料かつ時短になる請求書等の発行システム(電子取引の保存要件に対応)

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・追記(2022-6-22)
請求書、納品書、見積書のテンプレートを修正しました。
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電子帳簿保存法の改正により、電子取引を電子データとして保存することが義務化されました。しかしながら、電子取引による請求書の発行も受領も月数件なので対応にコストをかけたくないというのが正直なところ……。

ということで、電子取引の保存要件に対応した請求書等の発行システムを作成してみました。

私だけではなく少なからずそんな方々がおられると思いますので、わずかながらでもお役に立てば幸いです。


まず、電子取引の保存要件として「真実性の確保」と「可視性の確保」の2つを満たす必要があります。

「真実性の確保」についてはいくつかの選択肢がありますが、導入コストのかからない事務処理規定を定めることで対応します。

問題は「可視性の確保」です。以下の検索機能が必要となります。
  1. 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索の条件として設定することができること。
  2. 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
  3. 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。
(国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」より)


素直にスプレッドシートの機能だけですと対応しようとすると、都度手作業が発生するため好ましくありません。

ということで、スプレッドシートと GAS (Google Apps Script) を用いて検索機能を備えた請求書等の発行システムを作成します。

(受領する請求書等についてはまた別に投稿予定です)


主な機能は2つです。

① 請求書等発行機能

「請求書等の作成」(テンプレートに入力)
   ↓
「PDFファイルの作成」(自動)
   ↓
「取引履歴の保存」(自動)

という流れで請求書等を発行。


② 検索機能

「取引履歴」を1~3の条件で検索できるようにします。


▼ スプレッドシートの作成


請求書テンプレート


PC で Google アカウントにログインした状態で、上記リンク先にて「ファイル」から「コピーを作成」で編集可能なファイルが作成されます。

時々、アクセス権のリクエストをいただきますが、↑の方法で編集可能なコピーを作成してご使用ください。

スプレッドシートには請求書等のテンプレート他と GAS のスクリプトファイルが含まれます。GAS は一部書き換えが必要です(後述)。


▼ スプレッドシートの説明


・「請求書」「納品書」「見積書」シート
請求書、納品書、見積書のテンプレートです。 
「宛名(A3:B3)」「敬称(C3)」「日付(F4)」「品名(A13:B13 〜 A24:B24)」「数量(E13 〜 E24)」を入力します(請求書は「振込期日(B9:C9)」と「振込先(B10:C10)」も)。 
H13 〜 H24で商品と取引先の組み合わせが正しいかをチェックするようになっています。 

・「商品」シート
「商品(A列)」「税率(B列)」「単価(C列)」「取引先(D列)」を入力しておきます。 
「請求書」「納品書」「見積書」シートの「品名」をこのシートから読み込みます。

・「取引先」シート
「取引先(A列)」を入力しておきます。 
「請求書」「納品書」「見積書」シートの「宛名」をこのシートから読み込みます。「商品」シートの「取引先」と一致しているかを確認するので表記がブレないようにします。

・「参照」シート
「振込先(B4 〜 D4)」を入力しておきます(デフォルトで3つなので適宜増減してください)。「日付(B2 〜 H2)」は自動で3日前から3日後まで入力されます。 
「請求書」「納品書」「見積書」シートの「日付」と「振込先」をこのシートから読み込みます。

・「取引履歴」シート 
請求書、納品書、見積書のPDFが作成されると「管理番号(A列)」「発行日(B列)」「金額(C列)」「取引先(D列)」「種別(E列)」「URL(F列)」が記録されます。 
このシートから検索を行います。


▼ 請求書等発行部分の GAS の説明


PDF作成.gs の1、2行目の「フォルダ ID」と「スプレッドシート ID」を書き換えてください。

フォルダ ID は作成された PDF を保存する場所のものになります。

請求書のPDF作成の関数が pdfInv、納品書が pdfDn、見積書が pdfQuot となります。実行すると指定したフォルダ内にPDFが作成され取引履歴が記録されます。

マクロをインポートして、ショートカットキーを設定しておくと便利です。


▼ 検索部分の GAS の説明


検索.gs の1行目のスプレッドシート ID、index.html の7行目 <a> タグ、11行目 <form> タグの「ウェブアプリ URL」を書き換えてください。

ウェブアプリ URL は GAS をウェブアプリとしてデプロイすると得られます。公開はしないのでアクセスできるユーザーは「自分のみ」としておきます。


検索画面はこんな感じ。装飾等は一切していないので簡素です。

発行済請求書等検索システム


検索すると条件と結果が表示されます(下の画像では結果は消してあります)。

発行済請求書等検索システム(検索結果)


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必要があればお使いください。カスタマイズもご自由にどうぞ。


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