2025年10月7日火曜日

徒然じゃない日々(32)

先日、「株高不況」(藤代宏一・著)を読みました。


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「なぜ、株価は好調なのに庶民はその恩恵を感じられないのか。」というテーマについて書かれています。

大きな結論としては「生活防衛のために、一定のリスクを受け入れ、インフレに強い株式を保有することが重要」と論じられています。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

昨年から新NISAも始まりましたが、やはり増やすためというよりは、守りのために投資が必須になってきているように感じます。


あと、農家として気になるのは農業経営自体のインフレ耐性ですね。

農業には、燃料、肥料、農薬など、多くの生産資材が必要ですが、これらの価格はインフレによって高騰します。さらには人件費ですね。

昨今、生鮮食品のインフレ率が非常に高くなっており、一見しっかり価格転嫁がなされているように見えるのですが、一方で、中小企業庁による価格転嫁に関する調査では、全業種の平均以下という結果になっており、なかなか苦戦しているようです。

特に、設備投資が重く薄利多売になる作物ですと、簡単に利益がふっ飛び、価格転嫁のちょっとしたタイムラグが致命的になります。

月並みですが、価格転嫁のみに頼らず、地道な効率化と経費節減によって頑健な経営体質を作っていかねばと思うところです。


原木椎茸


やや脱線しますが、就農時に迷うことの1つが、併用不可の農業者年金とiDeCoのどちらに加入するかです。

基本的には関連機関(?)により農業者年金の方を推されることが多いと思うのですが、個人的には制度としてシンプル、かつ自由に運用商品を選べるiDeCoの方が好みです。


農業者年金が、今後しっかりインフレに対応した運用ができるものなのかという点は気になります。

これまでの運用実績を見ると、平均利回りは2%台後半となっています。

公開されている議事録を読むと、当然インフレへの対応は意識されています。ただ、それでも期待リターンは2%台となっており、実質的にマイナスということもあり得る気がするのですが、どうなのでしょうか。

今の時代、「(表面上)絶対に損させません」ということの代償は大きいのだなと思います。