2020年4月26日日曜日

家族経営の農業の兼業化という方向性

家族経営の農業の兼業化という方向性について。

私が就農した際は、両親が兼業で農業を営んでいました。

そこから専業化したわけですが、もともとは両親も専業で農業をしていました。

兼業化の原因としては、中国産の輸入生しいたけが増加したことで1998年頃から値段がとても安くなってしまったのですね。当時は基本的に市場出荷で、そのため経営が厳しくなり兼業化したそうです。

ちなみに、直後の2001年4月には、生しいたけ、ねぎ、畳表の3品目についてセーフガード(緊急輸入制限措置)の暫定発動がなされています。

(当時のことあまり知らなかったので資料をあたってみたら、日本の商社が開発輸入で張り切りすぎた結果みたいですね。)

しかしながら、人間万事塞翁が馬で、兼業化という両親の選択は非常に良い形で今につながっているように思います。

農業外の収入が得られるようになり、かつ農業へ費やすことができる労働力が減ったことで、やるべきことを最小限に絞り込んだスリムな経営になったのですね。

そして、スリム化していたからこそ、再度専業化するにあたって複合化や多角化(6次産業化)を効果的に行うことができました。


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今回の新コロナウイルス感染症(COVID-19)や昨年の台風19号に直面し、農村で農業を営むことの価値を一層意識するようになりました。

「農業・農村の多面的機能」とされるものですね。(農業・農村の有する多面的機能:農林水産省

今までも知識としてはありましたが、何というか実感をともなうレベルに達しました。

当然、経済的な価値を追求した、いわゆる儲かる農業のようなものは産業として必要です。何はともあれ、食料生産こそが農業の本分ですからね。

一方で、身近な田畑や山の中で農業をすることでそれなりに生活が成り立ち、結果として多面的機能が発揮されるという形も、これからめちゃくちゃ大事になってくると思います。それこそ実感として。

そして、この形において重要なのは土地を農業利用しているかどうかです。専業であるか兼業であるかは関係ありません。

であれば、トータルとしてより良い形を求めたときに家族経営の農業において今改めて兼業化が最適解となり得るパターンも大いにあるのではなかろうか、どうだろうか、などと最近はそんな事を考えたりしています。



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